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学習済みエンジンの特許査定率

このグラフをご覧ください。このグラフは、特許庁の審査官が昨年の特技懇で発表された、機械学習関連の出願状況と特許状況を示したものです。

 

 

 

「第四次産業革命下におけるIoTに関する現状認識」、2017・9・15、特技懇No.286より引用)

 

このグラフ、確かに2009年以降、特許査定率70%以上が続いている分野であることを示しています。よく言われませんか?他の分野の特許査定率が40-50%であることを考慮すると確かに高い確率で特許が取れていると。これ、最初、私も騙されました。違いますから。

 

ここで示されているのは「特許査定率」。審査請求された案件でその年に査定が出た中での特許査定の比率です。

 

一方、40-50%と言われているのは、出願したうち特許になる比率として一般に言われている数字です。特許庁に確認しましたが、特許査定率は、年によってばらつきがありますが、概ね75%くらいで推移しているとのこと。決して機械学習関連の特許査定率が飛びぬけて高いことを示しているわけではないんです。

 

また、出願件数の絶対数を見てください。特許出願件数は年間に30万件と言われていますが、2016年でも機械学習関連発明の特許出願件数は約300件。しかも暫定値であるとの注意書きも。つまり、母集団が少ない場合には、少し特許査定が多めに出ると特許査定率は高めに出やすい傾向があります。それをもってAI関連は特許になりやすいというのは少し暴言だと私は考えます。

 

逆に言えば、今が特許にするチャンスです、なんてことを言う専門家ほど・・・