代表挨拶

私は、最初は帆船日本丸の設計者でした。そこからSEとして10年余り。当時、ソフトウェアのパクリなんて業界の日常茶飯事。上司に物言おうが、「他がやってるんだから仕方ないんだよ」で済ませる始末。どうしようもなかったです。

 

そこで、弁護士さんに聞きに行ったんです。すると、「そういうのは弁理士に聞いてほしいんだよねえ。」と門前払い。ここで初めて「弁理士」なるものの存在を知りました。

 

そして、弁理士さんを尋ねたところ、「プログラムなんて特許で守れないんだよ。」とここでもまた門前払い。後で知ったのは、当時も頭のいい弁理士はうまくプログラムを特許で守っていたこと、そして技術分野によって得手不得手があって、私が訪ねたのは技術分野が異なる先生だったということでした。

 

そんなバカな!怒りに震えた私の頭をよぎったのは、「そうだ!私が弁理士になれば、多くの人を助けられる!」その一念で、右も左もわからない私が特許業界へと身を投じたのです。

 

それからもう20年が過ぎようとしています。おかげさまでソフトウエアに強い弁理士として一定の信頼を得るようになれました。しかし、最近のAI、IoTについては、一抹の不安を感じています。

 

思い出すのは2000年のいわゆる「ビジネスモデル特許ブーム」。技術すら理解していない弁理士が大量出願したせいで、特許査定率は落ちるわ、審査期間が長期化するわ、 大変なことになったことは業界の人間なら記憶に新しいことでしょう。

 

特許は、弁理士ならだれでもいい、というものではありません。少なくとも技術的に理解できない案件ならば弁理士は自ら断るべきなんです。しかし、AI,IoTについては、誰もが「できます」と言います。ビジネスモデル特許の時と同じです。

 

私は、AIやIoTに関する発明は特許になりやすいなどという統計結果に基づいて、「今が出願のチャンス!早い者勝ち!」などとあおる先生が出てきているのを良しとはしません。なぜなら、特許査定率が高いというデータの裏にあるものを読み取らずに表面だけで都合の良い解釈をしているからです。文献の少なさを理由にする方もいますが、特許は外国の文献も新規性の判断対象であることはご存知でしょう。審査官が見つけられなかった外国文献で無効になる可能性が高い、権利として不安定な特許、あなたは欲しいでしょうか。

 

私たち、ソフトウエアに真摯に取り組んでいる弁理士たちは、日々切磋琢磨して、AIやIoTに関する発明をいかに有効な権利とするかを研究しています。言い換えれば、AIやIoTに関する発明は以前からありましたし、それに対していつの時代でも少しでもあなたの役に立つように創意工夫してきているのです。

 

したがって、あなたにとって一番重要なのは、誰を選ぶか、そしてどういう権利を活用したいのか、その基準を明確にすることです。それこそが、あなたの会社を守ることにつながります。

 

特許を通じて、お客様に笑顔を。これが私たちの一番の願いです。